西の狼



「……確かに、本来ならばそうあるべきなのだろうな……」



「なら何故そうしない。」


「あの領主は、街の全てを自分で支配しないと気に入らないのだ。元々この街には自警団など無かった……それを数年前に結成したのだ。その時の条件が、この館に本部を設立することだった。」




「………その条件を飲んで、ここに本部を置いたってわけか……まぁ、それは分かった。もう一つ聞いていいか?」




「…………何かな?」




「この館の敷地には、なにか魔方陣の様なものでもあるのか?」



「……あぁ、そのことか……この館には、敷地全体に魔方陣を敷いているんだ。」



「それは、何の為だ?」


「………領主様を守る為の、結界を張っている。何分、侵入者が多いのでね。」



「……確かに、領主ともなれば敵も多いだろうな…だが、それだけじゃないだろう?」




「…………何が言いたい?」


二人の間に重い空気が横たわった。

だがレオンは構わず言葉を紡いでいく。


「………あの領主の目は、欲に塗れた男の目だ。あれは、ろくな最期にならんな………なぜあんな男に従っているんだ?」



レオンがそう口にした時、レオールは席を立った。



「おい……」



「一つ、と言っただろう……?」



呼び止めようとしたレオンにそれだけ言って、レオールは部屋から出て行った。


「………手強いヤツだな……」



「どうしたんスか?」



「あぁ………アイツは、今の領主が不満な様だな……もっとも、今は逆らえない様だ。理由は知らんがな。」


「……辛そうな方でしたねぇ……」



「……あぁ………さて、もう帰るか。日も傾いて来たしな。」