西の狼




………思えば、この男は掴み所が余りにも少ないな……と、レオンは今更ながらに考えていた。



「……まぁ、祭りがある間は恐らく大丈夫でしょうが………問題はその後でしょうねぇ……」



「あぁ……あいつら、恐らく魔法で半分操られているな。」




「そうですねぇ……もう半分は、どこかで操っているのか、或いは……」




「……………何かの拍子に切り替わる、か………」




「………そうですねぇ……そこまで高度な操作が可能かどうかは別にしても、そのどちらかでしょうねぇ。」




「あ、あの………」




不意に聞こえたロジャーの小さい挙手に、二人は同時にロジャーを見た。







………あぁ、すっかり忘れていた……と、二人は同時に思った。




「何で、そんなに難しいんですか?」




「おや、ロジャーさんはご存じありませんか……精神操作系の魔法は、対象の全身、若しくは頭部に自分の魔力を浸透させて意のままに操るんです。ですから、一度に数人を操るのも大変です。」




ロジャーはミカエリアの説明を食い入る様に体を前のめりにして聞いていた。


「そして、時間差で徐々に操っていくというのは聞いた事はありますが、半分だけ操って、後の半分を何かの拍子に一気に操るなんて高度な技法………並の魔法使いが為せる技ではありませんよ。」




「………へぇ………凄いんスねぇ……」




果たして理解しているのかどうか判別し難い表情をしているロジャーだが、レオンはあまり深く突っ込まなかった。



やはりロジャーには難しかったのか、いまだに首をひねっていた。



レオンは溜め息が出そうになったが、何とか飲み込んだ。



さすがにロジャーが可哀相になって来たのだ。