ミカエリアは宿屋の主人の後を歩いて部屋に向かっていた。
「………しかし、この世には奇妙なこともあるものですねぇ……魔女の一族の生き残りがいたことにも驚きですが、まさかマーリンの杖を見られるとは……」
独り言を呟きながら歩いていたミカエリアに主人が声をかけた。
「……お客様……?」
「………あぁ、はい?何でしょうか?」
「こちらがお客様のお部屋になります。」
その部屋は、レオン達の部屋の下の階にあった。
荷物も既に運ばれていた。
「では、ご用があればお呼び下さい。」
「えぇ。ありがとうございます。」
ミカエリアは静かにベッドに腰を下ろした。
「………そろそろ、連絡を入れますか……」
ミカエリアは、荷物を入れたカバンの中から一枚の巻き物を取り出した。
それを床の上に広げて、四隅を短剣で止めた。
「……拓け、風翔の門。我求めしは同朋との盟約……その身に碧き傷を刻み、我が声を遠方の同朋に伝え給え……」
ミカエリアが呪文らしきものを唱えると、広げた巻き物に碧の魔方陣が浮かび上がった。
「………私です………『議長閣下』………」
翌朝、レオンとロジャーは一階で朝食をとっていた。
足元にはマクリールがミルクを貰っていた。
「………結構大変だったんスねぇ、昨日は…」
「そうだなぁ……あんな機会は中々無いかもな……まぁ、良い事ばかりじゃないがな……」
「…また何かあったッスか?」
「あぁ……俺とミカエリアがイレールさんを連れて来た時の奥さんのあの顔……まるで幽霊を見る様な顔だった………」

