「おや、お帰りで………!?イ、イレール!?」
二人を最初に出迎えたのは、宿屋の主人だった。
「イレール、一体どうして……!?」
「イレールさんは、ご主人に買い出しを頼まれていたそうだが……」
「えぇ、左様でございます。ですが、これは………イレールに、何かあったのですか?」
「……取りあえず、座っても構いませんか?」
「あ、あぁ……申し訳ありません。お客様を………おい、カイナ!」
主人は奥の厨房に声をかけた。
中から出て来たのは、少し年老いた女性だった。
その顔は、レオンがおぶったイレールを見て顔色が変わった。
「イ、イレール!?」
カイナと呼ばれた女性は、青ざめている。
「あぁ。このお客様がお助け下さった様なんだ。奥に運んでくれるか?」
「………………」
だが、カイナは青ざめたまま動かない。
「…………?おい…………」
「!!あ、はい!」
カイナは慌ててイレールをレオンから受け取って二階に上っていった。
「…………妙だな……………」
「……本当に、最近のアイツはおかしいんですよ……呼んでも返事が無いことも多くて……取りあえず、空いてる席で………」
三人は適当な席に腰を下ろした。
「………それで、イレールに何かあったのでしょうか……?」
「……イレールさんは、買い出しの帰りにご主人に呼ばれて路地裏に連れて行かれたそうですが………」
「………私に…ですか……?」
「あぁ。その路地裏で、襲われていたところを、俺達が見つけたんだ。」

