「………何者だ、お前ら………」
レオンが腰の剣に手をかけたその時、黒衣の男が口を開いた。
「……お前が、約束の皇子か?」
「…………何…………?」
それは、予想外の言葉だった。
「だから、お前が約束の皇子かって聞いてんだよ。」
「………あぁ……」
「……ハハッ、そうかよ……アリアン!」
黒衣の男に呼ばれたのは、青いマントを羽織った少女だった。
「分かった……」
少女は静かに答えると、右手に握った杖の地面についている方を軽く持ち上げて地面を叩いた。
すると、その地点を中心に青く発光する魔方陣がレオンのところまで広かった。
「な!?」
「一緒に来て貰おうか、皇子様よぉ!」
レオンはすぐに魔方陣から逃れようとした。だが、その前に魔方陣が放つ光に呑まれてしまった。
「……………?何も…起きない…?」
何の攻撃もされないことに疑問を感じながらも、レオンはゆっくりと目を開けた。
だが、目の前にはさっきまでいた路地裏ではなく、荒涼とした荒れ地が広がっていた。
近くには、さっきの三人とミカエリアとイレールがいた。
レオンはすぐに剣を抜いた。
「ミカエリア、イレールさんを頼む。」
「………分かりました。」
ミカエリアはイレールを庇う様に前に立った。
「………お前ら、何で俺のことを知ってる………何が目的だ?」
「お前のことはダリウスから聞いたんだよ。そんで、お前を生かして連れて来いってなぁ………」

