西の狼



若い男は襲われていた女性を連れて、突然現われた男と共にその場から逃げた。




「待ちやがれッ!!」




だが、男達も諦めずに追って来た。




「………しつこいですねぇ……先に行きなさい。」




「は?」




「あのぐらい、私一人で十分ですよ。」





若い男は何となく信じる気になって、言う通りに任せることにした。
















「……………ここまで来れば、さすがに大丈夫か………」





若い男は連れていた女性を壁に寄り掛からせた。




逃げる途中で気を失ってしまった為、途中からおぶっていたのだ。





「………はぁ……」





一息ついたその時、背後に近付く気配を感じた。




気配が近くまで来たその瞬間、剣を突き付けた。






「…………私ですよ……」



それは、さっきの男だった。





「………アンタか……悪かったな……」



若い男は剣を納めた。




「……分かって貰えて何よりです………貴方、名前は?」




「俺のナは………レオンだ。」



「………そうですか。私は、ミカエリアと申します。」




「……アンタ、何で助けてくれたんだ?」




「私も、悲鳴を聞きましてねぇ…これは一大事と駆け付けたのですが……どうやら先を越されてしまった様ですがねぇ。」








「…………う…ん………」





その時、気を失っていた女性が目を覚ました。




「………あれ……?」




「目が覚めたか?」




「あれ……貴方は……」




「オヤ、知り合いですか?」





「知り合いというか………」






「俺が泊まってる宿屋の娘さんだ。イレールと言う。」