西の狼



「…………そうッスねえ…」



二人は朝食をとり終えて、部屋に戻って来た。





「………さて、どうするかな……ここまで野宿だったから、しばらくここに泊まっても良いんだが………」



「え、お金はあるんスか?」





「デメテルの街を出る時にヴォルカスからいくらか貰ったからな。一ヶ月は泊まれる額はあるだろう。」




「じゃあ、街のお祭りを見てからでも大丈夫ッスか?」






「あぁ、大丈夫だ。見たいのか?」






「………僕、デメテルの街から出た事が無いんス……だから、この街のお祭りをどうしても見てみたいんスよ。」







「…………そうか。まぁ、俺も少しこの街が気になってたところだからな。」





「………何か、見つけたッスか?」





「………この街に流れる気配は、何かおかしい………出来れば、街の領主に会ってみたいが、恐らく無理だろうからな。しばらくは泊まろうかと思ってたからな。」




「そうッスかぁ………じゃあ、お祭りが楽しみッスね。」




「………あぁ。そうだな。」




ロジャーは明日に控えた祭りに胸を高鳴らせて鼻歌を歌っている。





「……はぁ、少し体がなまりそうだな…少し外を歩いてくる。」




「あ、行ってらっしゃいッス。」




レオンはロジャーを部屋に残して宿屋を出た。




外はまだ早朝で、露店もまだ準備中の様だ。

レオンは一人で人通りの少ない道を歩いていた。





「………確かに、何か違和感を感じる街だな………」



それは、アグニの声だった。




「なんだ、起きてたのか。」



「あぁ……しかし何だ、この街は……奇妙な魔力の溜まり場が幾つも存在している……こんな街は初めてだ…」