「そうッスねえ…早くベッドで寝たいッス……」
二人は宿屋を探して歩き出した。
宿屋を探す道中、様々な露店を見ることが出来た。
中には何を売っているのか分からない店もあったが、概ね各地の名産品を売っている様だ。
他にも、表には出ていなくとも、武具屋や酒屋の看板を出している建物も見受けられた。
辺りを見ながら宿屋を探していたが、見つけた宿屋はどれも満室で中々見つけられなかった。
二人が宿屋を見つけたのは、探し始めてから実に十三軒目だった。
「じゃ、この廊下の突き当たりのお部屋でございますので。」
「どうもッス。」
二人は宿屋の主人に案内して貰った。
「………そういえば、この街で何か祭りでもあるのか?」
「え、ご存じ無いのですか?」
「あ、あぁ……」
主人のあまりの驚き様にレオンは少したじろいでしまった。
「僕たちは、旅の途中で寄っただけなんスよ。だから、この街の行事とか何も知らないんスよ……」
「そうでしたか……三日後に、街を上げての祭りがあるんですよ。だから、毎年この季節には多くのお方が遠方から足をお運びになるのですよ。」
「それでどの宿屋も満室だったんだな。」
「えぇ。私も、こんな街の片隅に宿屋を構えてますが、この季節だけはうちにもお客様が足を運んで下さるんで、感謝してますよ。」
「そうか……それじゃあ、ゆっくり休ませて貰おう。」
「えぇ。ごゆっくりお休み下さい。」
主人は階段を降りて行った。
「……もう休むか。日も傾いていたしな。」
「そうッスねえ……今日はもう疲れたッスからねえ……」
二人は部屋に備え付けられた二段ベッドに体を埋めて、眠りについた。

