西の狼

「お前正気か!?こんな得体の知れない奴について行くなんて……!!」


「………ここにいても…殺されるだけ……」


「………そうねぇ……」



「おい、ヴェルズ!?」


「アンタだって、こんな穴蔵で無駄死にしたくないでしょう?」




「……………………」




「……ハイド…………」



「………チッ…分かったよ………」




「……決まった様だな。なら、まずはその泥臭い体を洗って来い。奥に風呂がある。これはそこの鍵だ。」




ダリウスはハイドに鍵を投げた。



「風呂だぁ?」



「そんな着替えも用意してある。そんな格好で外をうろつかれてはたまらんからな。」



「アンだと、テメェ!?上等だ!今からでも………」




「止しなさい、このバカ。」



今まさにダリウスに飛び掛かろうとしたハイドの後頭部を、ヴェルズの平手がはたいた。



「な、何しやがる!!」


「アンタさっきやられたばかりでしょうが!!ろくな武器も無いのに勝てるとでも思ってるの!?」





ヴェルズのあまりの気迫にハイドは返す言葉も無い。




「う…………悪かったな………」




「………っとに、バカなんだから………」



「何でもいいが、話は済んだか?ならとっとと風呂に入ってこい。話はそれからだ。」




三人はダリウスが示した道を歩いた。




しばらく進むと、確かに浴場と書かれたプレートが立て掛けてあり、その両脇に青い扉と赤い扉があった。





「青い扉が、男湯だったな……」



ハイドは渡された鍵で扉を開けた。




「ほれ、そっちも開けろ。」


「はいはい。」



ハイドが差し出した鍵をヴェルズが受け取り、扉を開けた。