数秒後、
僕は無意識に彼女を追いかけていた。
今 追いかけないと、彼女を深く傷つけてしまいそうな気がした。
少し走っていくと、森永さんの姿はすぐに見つかった…
彼女はまだ逃げるように走り続けていた…
ブーツを履いているせいで、その足下は危なっかしくさえ見る。
僕がそう思っていると、案の定 彼女はバランスを崩して派手にこけてしまった…
「 森永さんっ!」
僕は慌てて彼女のもとに走った。
「 大丈夫ですか?」
「 ………っ 」
彼女は何も言わずに下を向いたまま頷くだけ。
「 …立てますか?」
そう言って僕が手を差し出すと、森永さんは 恐る恐るという様子で僕の手を掴んでくれた。
彼女の小さなその手は、
転んだ時に擦りむいたのだろう 血が微かに滲んでいた…