ぽたっと、
堪えていた涙がひとつ、零れ落ちてしまった…
「 どうしたんですか?
…具合でも悪いんですか?」
そんな佐伯さんの心配そうな声が上から聞こえる…
「 …ごめんなさい、
今日は、…あの、やっぱり買い物はいいです。」
顔は上げられなかった。
声も震えてしまったけれど、なんとかそう伝えることが出来た。
言い終わってすぐに私はその場から逃げるように走った…
佐伯さんが私を呼ぶ声が聞こえたけれど、振り返らずに とにかく走った…。
203号室の私
やっぱり
お出掛けなんて
言い出さなければ
良かったと、
後悔しました。