亜斗夢くんとの誤解を解いた私は、
この際にと思い、あのことを佐伯さんに聞いてみた…。
「 佐伯さんこそ、
この前 綺麗な女の人連れて来てたじゃないですか、もしかして彼女さんですか?」
どうか、彼女じゃありませんようにっ!!
心の中で精一杯そう祈った。
ほんとうに彼女だったとしたら、私は明日のお出掛けを最後に この気持ちを封印しようって決めてる……
私の言葉に佐伯さんは驚いた顔をして黙った。
そして無言のまま、
いつも以上に背を屈め、私と視線が合うように首を下げた。
突然 至近距離で見つめられて私の心臓が飛び上がる…
「 …気になりますか?」
私の顔をじっと見つめて佐伯さんが口を開く。
その言葉に私は大きく頷いて応えた…
私の反応を見て、
なぜか佐伯さんは小さく笑う
そして 一言…
「 秘密です…。」
「 ……へ?」
…ひ、秘密っ!?
それってどういう関係なの!?
その意味深な言葉に困惑する私に、佐伯さんは相変わらずの笑顔で、
「 じゃあ、おやすみなさい。
また明日…、」
と告げて、自分の部屋に入って行ってしまった……
取り残された廊下で、
持っていた荷物が、静かに手から落ちた。
203号室の私
明日のお出掛けが
なんだか
不安になりました…