「 痛そう…っ、
大丈夫なんですか…!?」
「 大丈夫ですよ、痛くもないですし…、」
「 …でも、どうしてそんな、」
喧嘩したみたいな痣が…?
佐伯さんに限って、喧嘩なんてあり得ないと思うけど…
そんなことを思う私を安心させるように佐伯さんが笑った
「 ただの事故みたいなものです。
…それより、
似合いますか?」
話題を変えるように、佐伯さんが私に訊ねる。
もう一度 その眼鏡を掛けてから、私に見せつけた。
似合ってるに決まってる…
レンズ越しに見つめられて、ドキドキが止まらなくなる…
「 …にっ、似合ってません。」
私は咄嗟に嘘をついた…
「 ないほうが良いですよ!!」
私の言葉に佐伯さんは、嫌な顔もせずに平然と、
「 じゃあ、やっぱりやめときます。」
と、あっさり眼鏡を外した…。
私が咄嗟に嘘を吐いてしまったのは、そんな格好良い彼を誰にも見せたくなかったから…
…私って、こんなに嫌な子だったっけ?
軽く自己嫌悪に陥る私に、佐伯さんは、
「 森永さんは、眼鏡 似合いそうですよね、」
「 っ!?」
その大きな背を屈めて、手にしていた眼鏡を私に掛けた。
私の顔に、微かに彼の手が触れる…
顔も近い……
体が一気に熱くなる……
「 さ えきさん…っ、」
「 うん、やっぱり眼鏡似合いますよ。」
戸惑う私
満足そうに笑う彼。

