昨晩はそんな事を考えすぎて、当然のように寝不足。
朝 鏡を見れば、いつにも増してブスな私…
学校、行きたくないな…
そうは思っていてもそんなわけにもいかないし…、
のろのろと私は仕度を始めた。
そうしていつも通りに部屋を出れば、同じタイミングでお隣の204号室のドアも開いた…
「 おはうございます、森永さん。」
「 お、おはようございます…、」
昨日無視してしまった私なんかにも、普通に微笑みかけてくれる佐伯さん。
胸が苦しくなる…
見上げた彼は、なんだかいつもと雰囲気が違っていた…
「 眼鏡…、」
彼の顔にあるそれを見て思わず呟いた。
雰囲気が違って見えるのは、いつもは掛けていない眼鏡のせい
縁のしっかりとしたお洒落な眼鏡は、佐伯さんにとても似合っていて、いつも以上に彼を格好良く見せていた…
…確かに格好良いのだけれど、素直にときめけない私。
その眼鏡は昨日の彼女の趣味なのかな…?
そんな不安が胸を占める
「 …佐伯さん、
目 悪かったんですか?」
なんとか平然を装い、いつものように並んで駅に向かって歩いて行く…。
私がそう訊ねると、佐伯さんは困ったように笑った。
「 いえ、ダテなんですけど…、」
言いながら、眼鏡を外してみせた。
「 …これがあった方が目立たないかなと思って…、」
そう苦笑い気味に言ったその顔には、小さいけれど 殴られたみたいな痣が二つあった…