…そんなこんなで、

帰り道までも ナナは僕に付き纏い、結局 さくら荘まで来てしまった…





「 ここのアパート超可愛い〜!」


さくら荘を見てナナが興奮したように声を上げた。




彼女の言う通り、さくら荘はとても可愛いらしい外観をしている…



モダンな洋風建築の2階建て。


桜の花のような
薄いピンク色の壁。



白色の階段に、

チョコレート色の郵便受け。




庭には大きな桜の木が植えられていて、春に向けて小さく蕾が出来始めている…。







「 徹の部屋どこー?」


「 ……2階、」



少し興奮気味の彼女に呆れながらも答えると、

ナナは勝手に階段を上って行く。



今日で何度目になるか判らないため息を零しながら、僕も2階に上がって行った…





すると、

森永さんが走るように階段を下りて来た…



いつもならすれ違い様に挨拶をするけれど、

彼女は、僕と目を合わせることも 立ち止まることも無く、階段を降りて行ってしまった…





なにかあったのだろうかと心配に思うものの、



「 早く部屋に入れてよ〜!」

と、ナナが急かすので部屋の鍵を開けた…



鍵を開けると、ナナは部屋に上がり込み部屋の中をあちこち見渡した




「 いい部屋〜!!」



子どものようにはしゃぎながら、最後は部屋のソファにダイブした…