「 ちょっと~!!

徹 その顔どうしたのっ!?」




学校に行くと、

昨晩 酔っ払いに殴られて微かに痣が残った僕の顔を見て、友人のナナが大声を上げた





「 ケンカでもした?!」



「 …いや、ただ酔っ払いに殴られただけ… 」



「 なにそれ〜、

だっさ〜!!」



僕の言葉にそう言ってケラケラと笑う彼女


七海 結菜(ナナミ ユナ)

あだ名は、ナナ



彼女は、同じ専門学校に通う友人であり、

僕がバイトしている美容室の店長の恋人でもある。


ナナに昨日の出来事を話すと、彼女は興味津々といった様子で




「 そのお隣りのOLさんって、彼氏いるの!?」


と、聞いてきた…




「 いるみたいだよ、

もうすぐ結婚するんだって… 」


僕がそう答えると彼女はつまんなそうな顔をした…




「 な~んだぁ、婚約者いるんじゃつまんないね〜 」



「 …は? 」




なにを言い出すんだと、唖然となる僕に対し、ナナは楽しそうに声を上げた





「 だってさぁ、女の人を庇って殴られるなんて恋愛ドラマみたいじゃない?

恋に発展したら面白いのに~ 」




「 ………。」






庇って殴られる というよりは、僕が勝手に殴られただけだ…




…しかも、


由貴子さんが僕を庇って、その酔っ払いを殴ることになったのだ。

…こんな かなり情けない話の恋愛ドラマがどこにあるのだろう……