"さくら荘"
それが、
僕の住むアパートの名前。
そこの204号室に僕は住んでいる。
その隣りの203号室は
つい先日まで空き部屋だったが、急に入居者が決まったらしい…
1月の末という、
とても微妙な時期に引っ越して来たのだ…
その人の名前は森永さん。
とても小さな女の子だった…
歳は僕と同じだけれど、
その身長の低さから、
ついつい"女の子"と、子ども扱いした風に感じてしまう…。
そんな小さな彼女が、
ある日
僕のもとを訪れた…
「 こんにちはっ、 」
ドアを開ければ、
少し恥ずかしそうに頬を染めて、僕を見上げる彼女がいた…
そんな表情や、
吃りながら挨拶する様子が可愛らしくて、
自然と顔が綻んだ…
「 こんにちは、 」
と、自然に溢れた笑みと一緒に挨拶を返すと、
彼女も安心したような笑みを浮かべた…
「 あの、佐伯さん、
…今、お暇ですか? 」
と、尋ねられて
「はい」と答えると、
彼女 森永さんは再び恥ずかしそうな顔をして、
「 助けて下さい… 」
と、小さな声で言った
助けて って……
「 ……どうかしたんですか? 」
僕がそう尋ねると、
彼女は腕を高く上げて
丸い蛍光灯を僕に見せつけた…
「 …お願いします。
蛍光灯
換えて下さい…」
……それが
僕と、
お隣の彼女との
始まりだった……