「 …なぁ、ここに一緒に住まない?」
彼が私に唇を寄せながら、そう呟いた。
「 駅はすぐそこにあるし、この部屋も 2人で住んでも狭くはないと思うんだけど…、」
なんて魅力的なお誘いだろう…
さくら荘に住んでなかったら、即 頷いてしまっただろう…。
「 …嫌?」
「 う〜ん、嫌っていうか、
私、今のアパート気に入ってるし…、」
さくら荘は、私にとって大切な場所。
あそこの住人は、みんないい人ばかりで大好きだ。
特に佐伯君とか…。
(なんてことは、彼には口が裂けても言えないけど…)
それに、
佐伯君と桃ちゃんの恋の行方も気になるし…
「 ふーん、じゃあ 同棲の話はナシだな。」
彼が体を離し、不機嫌そうにそう言った。
…しまった。
当然のことながら怒らせてしまった、
「 ごっ、ごめん、」
慌てて私が謝ると、
彼はニヤリと笑って私の左手を取った…
「 謝んなくていいよ、
結婚したら、嫌でもこっちに住んで貰うからな。
それまで好きなとこに居たらいいよ。」
そう言って、そのまま左手の薬指にキスを落とした…
「 けっ、結婚!?」
「 そう。近いうちにしような。」
「 〜〜〜っ!!」
そう言って彼は不意打ちのキスをした…
205号室の私
もうすぐ
お引っ越しの予定。