『…病院…行って』



電話の内容が聴こえたのか、

さくらは俺に向かってそう言った。



『行って!

わたしは、大丈夫だから…歩が帰ってくる前に消えたりなんかしないから…だから…』


だから病院に行けと、さくらは力強い声で言った。



「わかった…。

その代わり、勝手に消えるなよ」


『うん…』



そいつの返事を聞いて俺は部屋を飛び出した。





 さよならは

 言わない。

 言いたくない…