『だって…』
さくらが俺の言葉に言い返そうとしたその時。
また電話の音が部屋に鳴り響いた。
『あゆむ…電話出て』
「……」
『おねがいだから…』
「…わかった」
泣きそうな声で言われ、俺は携帯電話を拾い上げた…。
電話の主は上の階の佐伯だった…
「もしもし…?」
『もしもし広瀬さん!?
大変なんです!!瑠音さんが…っ』
受話器の向こう向こうからは、切羽詰まったような彼の声。
そして、なにより"瑠音“という言葉を聴いた瞬間、俺の心臓がどくんと激しく脈打った。
「…あいつが、どうかしたのか」
『瑠音さんが倒れて…っ、それで今病院なんですけど、
とにかく来て下さいっ!!』
そう言って病院の場所と名前だけを伝え、佐伯 からの電話は切れた。