とても優しく笑うその人は、
雨の中、私を迎えに来てくれた。
傘を差し出して、一緒に帰ろうと言ってくれた。
そして、私の名前を呼んだ…
『さくら』
と、私の名前を優しく呼んだ……
『…さくら』
「え…?」
『私の名前…さくらっていうみたい』
「…お前、記憶が…!?」
私の言葉に歩が驚いたように声を上げた。
その言葉に私が頷くと、歩は「そうか」と小さく呟いた。
そして、私の名前を呼んだ
「さくら…」
『うん…』
「いい名前だな」
『私もそう思う。ここの桜とお揃いだね。
だからここに居るのかな…
わからないけど、そのうちそれも思い出すと思う…』
そうなれば、
きっと私は消えてなくなる…

