また夢を見た。

今度ははっきりと…



『お兄ちゃんは、私が居ないとほんとに駄目だね』


そう言って、記憶の中の私は笑っていた…。



『お兄ちゃん…』

私はそっと記憶のなかと同じように呟いてみた。



「どうかしたのか…?」


歩が私に声を掛ける。


『なんでもないよ』

私はそう言って首を振る。





その時……


『なんでもないよ。気にしないで』

『嘘つくな』



頭のなかに、そう誰かと話している自分の姿が見えた。


誰…?私は誰と話しているの…?

さっきの夢で見たお兄ちゃん…?

それとも、別の誰か…?