私が怒ると、立夏は意地悪く笑みを浮かべて私を見た。


「別にいいじゃん。

俺もいっちゃんみたいな兄ちゃん欲しいしさー」


「だ、だからって

けっ、結婚なんて…っ」


口にすると余計に恥ずかしくなって、言葉が詰まる。

そんな私の様子を立夏は意地悪く笑いながら見る…。



「ねぇ、いっちゃんも別にいいでしょ?」


立夏がそう声を上げた。

私の後ろに向かって……



その言葉に恐る恐る後ろを向くと、いっちゃんが立っていた…。

いっちゃんの表情は、ひきつったような、無理に取り繕った無表情のようだった…


それもそうだ。

だって私なんかとの結婚がどうのこうの言われても反応に困るだろう…



「あ、あははっ、


いっちゃんごめんねー、うちの立夏ってばほんとに馬鹿で

へんなこと言ってるけど気にしないでー」


笑ってそう誤魔化すと、いっちゃんは小さく「あぁ」とだけ返事をした。



「えー、俺は結構本気で言ってるんだけどなー」


空気を読まない立夏がそんなことを言う。

私はいっちゃんたちに見えないよう立夏を殴ってその口を黙らせた。




「蓮が面倒掛けて悪かったな。

蓮、帰るぞ」

それだけ言っていっちゃんは蓮くんを連れて帰っていった…。