私が消えたくないって言ったら、歩はどんな顔をするのだろう…… 困るかな。 やっぱり、いやだよね… 幽霊なんかに居座られたら。 私だって、自分の存在が少し怖いもん。 …そう思っていても、消えたくないという感情はどうにもならない。 私の心を現すかのように、 雨が降り出した…… 『雨が降る。 傘持って行ったほうがいい……』 なにかを思い出しそうになるその言葉を、 私は知らない振りをした。