彼と付き合い始めて変わったこと…
呼び方が、"徹君"になった。でも、まだ慣れなくて、そう呼ぶことに少し緊張してる。
徹君は、私のことを"桃ちゃん"と呼ぶ。時々、呼び捨てになることがあってドキドキする…。
あと、お互いの部屋を行き来するようになった。
今は徹君のお部屋に来ている。
…とは言っても、徹君はこの部屋に居ない。
数分前、下の階の広瀬さんとどこかに行ってしまったからだ…。
私はよく知らないけど、幽霊がどうとか言っていた……
そんなわけで、今は徹君の部屋でお留守番中。
「 早く帰って来ないかなー… 」
なんて一人言を呟いていると、ガチャッとドアが開く音が聞こえた。
帰って来た!と、反射的に顔を上げると、
そこに居たのは徹君ではなく、彼の友達のナナさんだった……
「 こんにちは〜!
…って、あれ?徹居ないの〜?」
驚く私をよそに、彼女はマイペースに笑う。
「 っていうか、桃ちゃんだ〜!
やっぱ可愛い!!」
そう言って、ぎゅーっと抱き締められた。
ふわりと香る甘い香水の匂いに、やっぱり私と違って大人っぽいなって思った…。
「 あっ、あの…っ 」
「 徹から聞いたよー、付き合い始めたんでしょ?
徹のことよろしくね?アイツ、器用そうに見えて不器用なとこがあるからさー」
「 は…はい 」
あたふたする私なんてお構い無しにナナさんは言う。
言葉の様子から、ナナさんと徹君は本当にただの友達のようで、ほっとした……