事故も起こさずに帰って来れたのが奇跡のように思える。

さくら荘に着いた俺は、逃げ込むように部屋に入った…。



『 お帰り!!

どうしたの?そんなに慌てて 』


部屋に入ると、幽霊は俺に笑いかけた。



「 別に… 」

それだけ口にして、俺は床に座り込んだ…。
瑠音の顔、声、匂い…彼女の存在全てが頭から離れない。


瑠音は、少し痩せたような気がする。
もともと細かったが、以前よりもずっと痩せているた印象だった。


…ちゃんと食事とってるのかとか、大丈夫なのかと、心配になる

そして、そんなことを思う事が不毛であるということに気付かされる…。


瑠音と俺はもう別れたんだ……。





『 あーゆーむー

大丈夫ー?』


「 ーーっ!?」



幽霊が俺の顔を覗き込む。

突然のことに驚いて頭を壁にぶつけると、幽霊は可笑しそうに笑った。




『 ドジだね 』


「 お前のせだろうが… 」