昼間に見た桜より、

夜に見る桜の方が綺麗に思えた……




それはきっと、彼が隣りにいるせいなのかもしれない。




「 佐伯さんの部屋、私の部屋より桜の木が近いんですね。」


窓からちょうど真正面にある桜の木を見て、私はそう口を開いた。



…気持ちを伝える前は

話し掛けるだけでも緊張していたのに、今ではそれが嘘のようにリラックスして話している私がいる…。



気持ちが通じ合ってからの私たちは、これまでのことをいっぱい話した…


お互いに勘違いばかりで、それがおかしくて2人で笑い合った…。




…夜も更けてきたころ、

そろそろ自分の部屋に戻らなくちゃいけないと思いながらも、彼の側を離れるのがなんだか名残惜しい…



そう感じているのは佐伯さんも同じようで…





「 参ったな…


帰したくない…… 」


困ったように呟いて、

私をぎゅっと抱き寄せた…




「 さっ、佐伯さん…っ!?」


緊張せずに話せるようになったとはいえ、やっぱりこんなに近いと緊張してしまう…


彼の言葉と体温で、
私の胸はまたドキドキと激しさを増すのだった…。