今年もさくら荘の桜の花は綺麗に咲いていて、

この恒例行事に、
住人のみんなは思い思いに楽しんでいる…




この場に居ないのは、
204号室の佐伯君と203号室の桃ちゃんの2人だけ



2人になんとか仲直りしてほしくて、
私は寝ている彼女を彼に任せたわけで…


…どうやらそれは上手くいったみたいだった。





見上げた2階の窓は、

明かりが一つだけついていて


寄り添う2人分の影



 


「 くーちゃん、

今日はうちに泊まろうね。 」



私はそう言って、彼の部屋を寝床にしている猫のくーちゃんを抱き上げた



「 にゃー 」と、鳴いたその鳴き声は、

どこか嬉しそうで私も自然と笑みが溢れた






( よかったね… )



私は心の中で、

2人の影に向かってそう言ったのだった……