…これは、
もしかしたら夢なのかもしれないと思った。
お花見の最中に寝てしまって、そのまま夢を見ているのだと…
そんなことを思う私に、佐伯さんは言う
「 森永さんが僕のことをなんとも思ってないのなら、きっぱり諦めますから… 」
その言葉に私は精一杯首を振った。
「 …や、嫌です。
わっ、私も佐伯さんのこと、好き‥なんです。
…だから、そんなこと言わないで…っ 」
…もっとちゃんと気持ちを伝えたいのに、口から出る言葉はとても弱々しかった…
…そんな私を
佐伯さんが突然抱き締めた。
「 …嬉しいです。」
ぎゅっと抱き締められながらそう言われて、私の心臓はもう爆発しちゃうんじゃないかってくらい早く脈打った…
「 付き合いましょうか 」
「 ……はい 」
すっかりのぼせてしまった顔を見られないように、
彼の胸に顔を埋めてそう答えた…
上からは安堵の溜め息が漏れて、
そして
抱き締めるその腕の力は微かに強まった。
伝わるこの体温は、
これが夢ではないということを私に教えてくれた……