ひらひらと、
淡い色をした花びらが風に舞う…


俺は自分の部屋の縁側に腰を下ろして、目の前の桜の花を見上げていた…



そして、

柄にもなく「綺麗だ」と、そう思った。




…しかし、その綺麗な桜の花とは対照的に、


桜の下では、酒に酔った男がぐーぐーと寝息を立てていた。



そんな男‥103号室の如月を見て、201号室の斉藤さんが少し呆れたように溜め息を吐いていた。



「 ったく、しょうがないな… 」


そう言って彼は、酔いつぶれている如月を担ぎ上げようとしていたので、俺もそれを手伝い二人掛かりで如月を縁側に寝かせた。


そんな様子を見て、他の住人が笑っていた…




「 広瀬さんも飲み過ぎないで下さいね。」


斉藤さんの嫁さん(婚約者?)が笑いながらそう言って、俺に酒の缶を手渡した…



俺は苦笑いでそれを受け取った。

酒に強いわけではないので、酔わない自信はなかった…






「 ただいま〜!

買い出し行ってきたよ〜!!」


そう言って元気良く声を上げて庭に入って来たのは、102号室の女子高生。その隣りには202号室の不良少年。


タイミングのいいことにジュース類の買い出しから帰って来たようだった…