「 あっ!
なっちゃん、どうせならウチのバカ息子荷物持ちに連れていきなさいよ。」
玄関を出ようとしたところで、いっちゃんママにそう言って引き止められた。
相変わらずいっちゃんママは怖いもの知らずというか…、
あのいっちゃんを荷物持ちにしようなんて発想するところが本当に凄いと思う……
そうして、いっちゃんママに202号室まで連れて来られると、
いっちゃんママは、
「 樹ーっ!!」
と、元気よくいっちゃんを呼んだ
「 …うるせーよ 」
いっちゃんママの声に、いっちゃんは眠そうに目をこすりながら出てきた。
その様子から、寝ているところを起こされたみたいだった…
寝起きのいっちゃんは、
なんていうか…
可愛いと思った。
眠そうなその仕草はもちろん、
普段はワックスでつんつんにセットされている髪は、寝起きだからぺったんこ。
だからなんだか幼い感じがして、かっこいいのに可愛く思えた……
「 悪いんだけど、なっちゃんと一緒に買い出し行ってきてちょうだい。」
「 …なんでだよ 」
いっちゃんママは脈絡なくいっちゃんに言うものだから、いっちゃんは意味が判らず首を傾げた。
そんな仕草も可愛くて、私はついにやけそうになるのを必死に堪えるのだった…。