……嫌な夢を見た。
アイツと別れた時の夢だ
ほんの一週間ほど前の出来事。
俺がこのアパートに越して来た理由。
…思い出すだけでも気が滅入る。俺は布団の中で深い溜め息を吐いた。
そんな俺に、
『 …大丈夫? 』
と、透き通る様な声音で言葉を掛けてきたのは、この104号室に部屋に住む幽霊だった。
「 ……俺に話し掛けるな。」
俺はそう言って、覗き込んでくる奴の顔から顔を背けた。
この幽霊との同棲(?)生活が始まってからもう数日が過ぎた
非常識極まりないコイツの存在は受け入れ難いものの、すぐに引っ越すのも煩わしい…。
そうして極力関わらないように生活を続けていたわけだが…、どうやらコイツの方は俺と関わりたいらしい…。
『 うなされてたよ…
怖い夢でも見たの??』
「 …なんでもない。俺に構うな。」
俺がそう言うと、幽霊はその半透明な顔をしかめさせた。

