「 ほら、イチゴやるから元気出せよ。」
そう言っていっちゃんは、落ち込む私にイチゴを乗せたスプーンを差し出した。
「 …いっちゃん、そういうことしちゃ駄目。」
「 は?」
本人は無自覚なんだろうけど、
この見た目からは想像出来ないくらい優しいから、そんな風にされたら大抵の女の子は期待しちゃうと思う…
「 だから、なっちゃん以外の子に優しくしちゃ駄目だよってこと!!」
「 …イチゴいらねぇの?」
私の言葉に首を傾げる鈍感ないっちゃん。
「 いる!」
そんな彼にこれ以上言っても無駄かもと思った私は、差し出されたスプーンを口に含んだ。
クリームの付いたイチゴは、甘くてすっぱい味がした……
まるで、
この片思いのような味。
この恋を頑張れるのは、
片思い仲間の彼がいるおかげ…。
203号室の私
さくら荘に越して来て
初めて出来たお友達は
202号室の
いっちゃんです。