「 ねぇねぇ、いっちゃんは春休みどうする?」


「 ……。

…バイク乗ったり…とか…… 」


私の質問に、いっちゃんはちょっと考えてからそう答えた。

バイク以外に思いつかないような言い方がなんだか可愛い…。



「 そっかー、いっちゃんバイク好きだもんね。」


「 …まあな。

……で、お前は?」


「 私はね…、えっと、料理の練習とかっ…!」



いっちゃんが私のことに興味を持ってくれた…。
そのことが私は嬉しくてたまらない。答えた声は思わず吃ってしまった…


料理の練習は、もちろんいっちゃんのお弁当のため。

いっちゃんは私のお母さんが作ってると思っているみたいだけど、それでもいい。いっちゃんに喜んで貰えるならそれでいい。


…そんなことを思う私に、いっちゃんがふいに口を開いた




「 …卵焼きは、甘い方が美味い。」


「 ……え?」



( …甘い卵焼き?)


一瞬なんの事だか戸惑ったけど、お弁当のリクエストのことだと理解した私はすぐに返事をした。




「 うん!じゃあ、休み明けてからのお弁当は甘い卵焼きにしてって、お母さんに言っとくね!!」