「 …えっ、あの104号室に住む人が出来たんですかっ!?」


「 うん。引っ越して来て今日で3日経つかな。」





先日越して来た新住人の広瀬さんの話をすれば、佐伯君は案の定驚いていた…


104号室は、いわゆる幽霊が出る部屋としてこのさくら荘住人の間では有名だ。



今まであの部屋に入った人は、すぐに引っ越して行ったし、

私には聞こえないけど、104号室の真上の部屋の佐伯君曰く夜中になると物音が耐えないらしい……





「 …僕なんて、最初の3日は気味悪くて寝付きが悪かったですよ。あの部屋に住めるなんて凄いですよね 」


「 いや、たった3日で慣れちゃう佐伯君も、かなり凄いと思うよ… 」


私だったら、たとえ物音だけでも怖くて絶対に住み続けられない…。




「 幽霊の話なんかやめろよ〜… 」


そう言って、私の旦那が話を遮った。その表情はなんとなく引きっていた…



「 …幽霊、怖い?」

つい茶化したようにそう尋ねると、


「 ばばばばばっ、馬鹿っ!そんなわけないだろっ!?」

と、あきらかに動揺したようにそう言い返してきた。



「 ほら、佐伯君っ!
ちゃんと食ってるか?どんどん食えよ!!」

図星を誤魔化すように、そう言って佐伯君のお皿におかずを盛っていく…



「 すみません、いただきます。」

相変わらず礼儀正しい佐伯君はそう言って、お皿に盛られたおかずを口に運んでいった…