…ナナと店長が話し出したのを確認して、

僕は静かにベランダに出た…。




ガラス越しに見える彼女は、さっきまで泣いていたとは思えないほど嬉しそうな表情を浮かべている……


"恋人"という存在の偉大さを感じる…




そんなことを考えて、思わずお隣に目を向けた…

森永さんの部屋はもう既に明かりが消えていて、
もう寝てしまったのかな… と、そんなことをついつい考えてしまう。





僕が彼女の恋人になれる日はあるのだろうか…



…今日の出来事を思い出すと、ため息しか出てこない。





目の前に見える咲き始めた桜の花だけが、僕の憂鬱を癒してくれた……






 




 204号室の僕

 

 この桜が開花した時

 彼女と一緒に
 見ていたい…

 と、そう思います。