…そんなことを思い出しながら、俺は新しい住居であるさくら荘までの道を歩いて行った…
さくら荘
201号室
俺と由貴子の部屋。
アパートを見上げれば、俺たちの部屋に明かりが灯っていて、
それが当たり前のことなのだと思うと、どうしようもなく幸せな気持になった……
「 ただいま 」
と、ドアを開ければ
「 おかえり~!! 」
と、笑顔で迎えてくれる彼女が愛しい……
結婚が決った今では、
先輩後輩という年の差の壁も完全に無くなり、
遠慮なく甘えてきてくれる…。
そんな姿も、嬉しくて仕方ない……
「 …って、お前、
そのデコどうしたんだよ… 」
見れば、彼女の額は赤く腫れていた。
思わずそう尋ねれば、
彼女はオデコを擦りながら、その理由を話した…
「 …大丈夫なのか? 」
「 大丈夫じゃないよ、痛いもん。」