あの2人のことは放っておくことにして、店のティッシュを配りに外へ出た…。


どうやら僕にはティッシュ配りの才能があるらしく、ティッシュは10分ほどですぐに無くなってしまった……





…店に戻ると、お客さんが帰っていくところだった。

この店で髪を切った帰り際に見せる お客さんたちの嬉しそうな表情を見るのが、僕は好きだ…




その表情を見るたびに、自分も早く美容師になりたいという夢が大きく膨らむ…。









「 佐伯、お疲れ。

札 返しといてくれ。」


副店長の結城さんが、帰って来た僕に気付き、そう声を掛ける。




「 お疲れさまです…。」


僕は言われた通りに、店のドアの札を"close"に裏返した。