さくら荘から15分ほど歩いたところに、
《Re:Re》
という美容室がある。
《Re:Re》は、
僕のバイト先であり、
僕が美容師になりたいという夢を抱くきっかけになった場所……
…そして
僕にこの夢を与えてくれたのが店長の総一郎さん。
この店長、
普段はいい加減な性格をしているけれど、仕事のことに関してはかなり厳しい……。
「 …ほう、
じゃあ、そのご近所のお姉さんにドアをぶつけてしまい、それを手当してたせいで遅刻したと…?」
「 …はい。すみません。」
「 ごめんね〜、そーちゃん。」
真面目に謝る僕の横では、同じく遅刻したナナがヘラリと笑って言う。
今日はなぜか、学校帰りにナナが僕の部屋にまでついて来た…
バイトがあるにも関わらず勝手に部屋でくつろぎ始める彼女のせいで、準備が遅れてしまい、急いで部屋を出ようとした瞬間に由貴子さんにドアをぶつけてしまったのだった…
「 徹…、
てめぇ 言い訳してんじゃねぇよ… 」
「 ………。」
バイトに遅刻した理由を話すと、店長が言いながら僕の胸ぐらを掴んで睨みつけた…
遅刻した理由を話せと言ったのは店長のくせに、この扱いは理不尽極まりないだろう……