棚が高すぎて、本に手が届かない私…
困っていたら、
「 これですか?」
そう言って、
お目当ての本が、横からやってきた手にすっと取られた。
「 ………へっ?」
びっくりして隣りを見ると、彼が立っていた…
「 この本で、よかったですか?」
彼、佐伯さんは柔らかい笑顔を浮かべ、
手にした本を私に差し出した…
「 あっ、ありがとうございます!!」
彼に会えた嬉しさと、
彼にカッコ悪いところを見られた恥ずかしさで、
顔が熱くなる…
「 お菓子作りですか?」
佐伯さんが私の手の中にある本の表紙を見てそう尋ねた
「 はっ、はい、
…あの、もうすぐバレンタインですから…、」
そう答えると、彼は納得したように頷いた。