ギア・ドール


「別に・・・・・・・。」


 海人は、タバコを大きく吸うと。


「・・・そんなことより、お前たち、いい加減より戻さんのか?」


 紫煙と共に吐き出した。


 アルクと菫の痴話げんかも聞き飽きた。


 あの家には、空き部屋もたくさんあるし菫が戻ってくるぐらい、何の支障もないはずだが・・・。


「また、その話?」


 そういえば、一週間前にも同じような話をした。


「・・・アルクのこと、まだ好きなんとちゃうんか?」


「どうして、そう思うのさ?」


「お前の態度を見ていれば、馬鹿でも分かる。」


 しつこくかける電話。


 アルクを誘うのは、いつも菫のほう。


 彼らが別れるとき何があったのか詳しいことは分からないが、少なくとも菫は、いまだにアルクのコトを愛している・・・。


「でも、アルクは分かってないみたいだよ・・・。」


 自嘲気味なスミレの声。


 ・・・そんなこと、言わせるな・・・・


 彼女の声がそう言っていた・・・。