ギア・ドール


「よぉ、海人。お待たせ。」


 そんなコトを考えながら、しばらく低速飛行をしていると、後ろから紫色のギア・ドールが追随してきた。


 菫のギア・ドール。


 モニターの索敵画面には、ご丁寧に青の点と共に、『sumire’s GIA』という文字が浮かび出ている。


 皐月よりも一回り大きく、8メートル弱の菫の機体。


 二つのギアが並走すると、姉と弟という感じを受ける。


「電話はもう、終わったんか?」


 ラジオのボリュームを落として、予定より早い到着に尋ねる。


「まあね。」


「珍しいこともあるもんやな?」


 正直な感想。


 一時間は、覚悟していたのに・・・。


「別に・・・。なんだかんだ言っても、別れた男だしね。」


 感慨深い菫の声。


 顔をうつぶせているのが、顔を見ずとも分かった。


「さいか・・・。」


「ごめんね、いつもいつも待たせちゃって・・・。」


 菫からあやまることは、少なくない。


 アルクと一緒にいない菫は、いつもより若干素直で、おとなしい。


 彼の前だとどうしても張ってしまう見栄がないからだろう・・・。