リビングを後にして、廊下を奥に進むこと数歩。
扉のない吹き抜け状態の物置と化しているリビングの部屋。
その奥には三つの扉が存在しており、一番右に位置している右の扉を開けると、地下室へと続く階段が存在してる。
木造の家には似つかわしくない一面ステンレスの階段。
そこを5分ほどかけて下に下ると、家全体の面積の3倍はあろうかという広い地下倉庫が待っている。
床一面に散らばる機材や工具。
それらに囲まれるように地下倉庫の真ん中に聳え立つ巨大な人型ロボット。
海人専用ギア・ドール『皐月』がそこにはいた。
この世界では、およそ珍しくない巨大な人型人形『ギア・ドール』
全長は大きいもので10メートルを超えるモノもあるが、平均おおよそ7,8m。皐月は、それらよりも少し小さい6メートル強のギア。
黄土色をベースカラーとし、体つきは心なしか寸胴、腰には小さなマシンガンが装備されている。
オートマチックシステムを完全に排除して、完全な手動型に成功したおそらく世界で唯一のギア・ドール。
世界広しといえど、おそらく海人以外にこのギアを扱えるものはいない・・・。
誰もいない地下倉庫の中。
海人は、無造作に床に散りばめられた契機やら、機材類を巧みに乗り越え、皐月に辿りつく。
「お前と、ここに来てもう二年になるな・・・。」
声をかけるのは、いつもの日課。
「・・・・・・」
それに対し、皐月は今まで一度も返事を返したことはないし、何の反応も示さない。
当たり前のことなのだが、それでも時々、こいつが喋れたら・・・と考えてしまう。


