ギア・ドール


『ウソつく必要がどこにあるのよ?』


 それもそうだ。


「なら、少し待っていてくれ。今、用意する。」


 空になったどんぶりを台所の洗面所に入れ、パイロット用ジャンパーに手をかける。


 もちろん、そのジャンパーの色も黒一色だ。


『そんなに焦らなくたって、獲物はたくさんあるって。それより、そこにいるウスラトンカチに変わってくれる?』


 アルクのことだろう。


「呼んでいるで、ウスラトンカチ。」


 ジャンパーを羽織り、先ほど口から落ちたタバコを再び口にくわえながら、アルクに顔を向ける。


 すると、菫の顔が気まずいのか、おとなしくラーメンを食べ出したアルクが見えた。


 まったく・・・・どこまでもイヤミなヤツ。