「だからって、四日連続はないだろう?海人、お前も食事係なら、栄養ってものを少し考えろよ!このままだと、俺ら完璧に栄養失調でくたばるぞ!」
アルクにしては珍しい怒鳴り声。
そんなこと、分かってる。
一々口にするな・・・。
海人は、ラーメンを汁まで綺麗に飲み干すと
「仕方ないやろう!金がないねん!そこまで言うなら、仕事見つけてこい!」
アルクに負けじと、怒鳴り声を上げた。
海人だって、四日連続のラーメンにストレスが溜まっていないわけではない。
しかし、それが許されない現状であることぐらい、痛いぐらい分かっている。
仕事を見つけるのはいつも、アルクの役割。
海人は、アルクの見つけた仕事を行う・・・いわば実行部隊だ。
「無理言うなよ!それに最初に『紫卯基地の攻防戦が終わるまでは動けない』って言ったのは、海人のほうだろう?」
紫卯基地。
海人たちが住んでいるスラムを睨むように聳え立つ大きな虎神軍所有の軍事基地である。
あまり、軍事的な価値はなく、領土の最西端を示すための基地だと思っていたのだが、なぜか、二週間前からアトランテ軍との戦争状態になってしまった。
毎日のように遠くで鳴り響く、空襲警報と爆発音。
軍人ではない海人たちには関係ないとは言え、彼らがスラムから出るには、どうしても紫卯基地の近場を通ることになり、結果として二週間、彼らはスラム街の中で外部からの補給もないまま、閉じ込められる形になってしまった。
元々、法律の存在しない、警護体制も存在しないスラム街。
後、三日もすれば、治安の維持が難しくなってくるだろう・・・。


