ギア・ドール


「・・・・なんや?」


 本当は、何が言いたいかなんて分かっているが、ずっと不機嫌な声を聞きながら食事をしたくないので、とりあえず返事を返す。


 どこの国ともいえない独特のイントネーションの言葉。


 気にする人間は、もはやいない。


「肉が食いたい。」


 ・・・・やっぱり。


「却下。」


 顔は向けないまま返事を返す。


 ちなみに、アルクの前にも海人と同じように、具が一切入っていない、面と汁だけのラーメンが置かれているのだが、一切手をつけられた様子はない。


 ささやかな抵抗なのだろうが、だからと言って、他の食事が出てくるはずもない。


「なら、せめて魚介類・・・。」


「却下や。」


 そりゃ、海人もできることなら肉や魚を食いたい。


 しかし財布と冷蔵庫の中身が、それを一切許してくれないのだ。


 贅沢は敵。


 今の海人たちの生活のキャッチフレーズである。