ギア・ドール


 朧新月208年7月23日。


 この日は、私の18回目の誕生日だった。


 後輩たちが私のために誕生日パーティを開いてくれると言ったが、全力で拒否した。


 今日は、それどころじゃないことが起こる。


 私たちの計画は、昨日の夜、後輩たち全員に秘密裏に教えた。


 ミンナ・・・お願いだから、無事に逃げてね・・・・。


「なぁ、キラ。俺・・・一応、お前に誕生日プレゼント用意したんだけど・・・今、渡したほうがいいかな?」


 緊張がピークに達しようという計画実行の1時間前。


 私の部屋に泊まった鈴蘭からの突然の告白。


 さすが、マイ・ダーリン。


 その気持ちは、とても嬉しい。


 だけど・・・


「ありがとう鈴蘭。でも、こんなときに受け取っても、素直に喜べないと思うんだ。だから、私たちが無事に生き延びて逃げ出すことが出来たら、ちょうだい・・・そのときなら、本当に心から私もお礼が言えると思うんだ。」


 きっと、こんな場所で、どんなものをもらたって、私は喜ばない。


 ケィ君が命を賭けようとしている。


 私たちだって、生き残れるか分からない。


 こんな不安だらけの中で、どうやって喜んでいいのか・・・。私には分からない・・・。


「そっか・・・。お前なら、そういうと思ったよ。」


 ちょっと残念そうな鈴蘭の声。


「鈴蘭・・・愛しているよ。」


 唐突に言ってみたくなった。


「なんだ?突然?」


 その言葉に首筋まで真っ赤にするする鈴蘭。


 可愛らしいな、コンチクショー!