ギア・ドール


 その日の夜。


 私と鈴蘭は、ケィ君に連れられて、施設の地下道路を進んでいた。


 いったい、どこに進んでいるのか・・・?


「こんな場所が、施設内にあったんだ・・・。」


 正直な感想。


 薄暗く、光源はどこにもない。湿っぽくて、壁にはコケがはいている地下洞窟。


 匂いだって、鼻をつまんでいないと、息が出来ないぐらいくさい。


 一番近いものをあげるなら、下水道に近いものを感じるが、水が流れていないところから、そういうわけではないのだろう・・・。


「まぁ、この施設でも、この道路を知っているのは、俺ぐらいやからな・・・。」


 だったら、もしかして・・・。


「ねぇ、この道路を使えば、逃げられるんじゃない?」


 誰も知らない地下道路。


 これが外までつながっていれば・・・もしかして・・・。


「俺が、そんなこと試さないとでも?」


 あ・・・。


「ムリなの?」