「ん?」


「その施設を襲った『K』は、その後、どうなったんや・・・?」


 それだけが、この物語の最後に残された謎。


 殺されたのか、それとも・・・まだ・・・・。


「・・・・・・・・・・気になるの?」


「まあな・・・。」


「・・・・あれから先の記録はすべて抹消されているよ。どうやら未だに行方不明らしい。」


「そうか・・・。」


 別にだからどうしたということもない。


 もはや、そんなことは遠い昔・・・遠い国で起こった物語なのだから・・・。


「そんなことより、今は目の前の仕事に集中しなよ。俺も、もうラーメンな毎日はコリゴリだよ・・・。」


 同感だ。


「せやな・・・」


 海人はそれだけつぶやくと、顔だけアルクの方を向けて、軽く微笑むと、皐月の待つ格納庫に向かう。


 外は、相変わらず熱気だけが漂う曇り空が漂っている。


 しかし、その上には人工太陽が照っていて、さらにその上には本物の太陽が、この星を照らしている。


 それで十分。


 ここは地獄なんかじゃない。


 人が生きて、精一杯生きているのだ。


 海人は、今日もそれをかみ締めて、皐月に乗って、仕事に向かって行った・・・・・。



End