ギア・ドール


 ケィ君からの意外すぎる提案。


「・・・・ハイ?」


「突然、何を言いだすんだ?ケィ?」


 私と鈴蘭の口から変な声が漏れる。


「いや、前々から思っていたことやけどな・・・。どの道、俺たちが逃げたって、俺たちの後輩が、同じ目にあうんや。もしかしたら、これから先、この施設の人間は毎年、成績優秀者をこうして人工知能に使う気かもしれん・・・。」


 確かに、そんな話・・・酷すぎる・・・。


「だから、施設ごと破壊してしまおうって算段か?」


 籠から逃れることが出来ないなら、籠を壊してしまえばいい。


 そんなこと・・・普通の鳥なら思いつかない・・・。


「う~ん・・・せやけど、ホントこれは最悪の方法やで。」


「でも、どうやって?」


 そりゃ、出来ることなら私だってそうしたい。


 しかし、訓練使われている銃は、ペイントゴム弾だし、爆弾も所詮は玩具。


 しかも、カリキュラムが終わったら、すべて教官に返さなければならないシステムだ。





「そんなの、ギアを使うしかないやろう?」